自動車技術部
自動車電池合理化グループ※職種・部署はインタビュー当時のものです
K.Y2022年入社
学生時代は、リチウムイオン電池やナトリウムイオン電池の材料研究に取り組んでいました。小学生の頃から環境問題に関心を持ち、自然エネルギー普及には電池の力が不可欠だと考えるようになり、エネルギー分野を学ぶことを志しました。
就職活動では、大型電池を扱う企業を中心に検討し、コスト面や将来性から鉛蓄電池に注目。中でも古河電池は111年という長い歴史と豊富なデータを持ち、研究室の先輩からも「アットホームで話しやすい会社」と聞いていたため、志望度が高まりました。
最終的な決め手は、「やりたいことにどストライクだった」こと。大型鉛蓄電池分野で圧倒的な実績を持つ古河電池でなら、目指すキャリアを実現できると確信し、入社を決めました。
入社以来、新規鉛蓄電池の研究開発に携わっています。主にセパレータや集電体といった部材の改良を担当し、初期不良の防止、長寿命化、コスト削減を目指してデータに基づく提案を重ねてきました。
現在は集電体の研究開発を主軸に取り組んでいます。鉛蓄電池では充放電を繰り返すうちに集電体が腐食し、最悪の場合ショートを引き起こすリスクがあるため、腐食を抑える技術開発が重要です。
単純に集電体を厚くするだけでは重量やコストが増えるため、鉛に特定の金属を添加することで耐食性を向上させる方法を探っています。耐食性向上とコストのバランスを最適化するため、新たな金属の組み合わせの検証を続けながら、実用化に向けた地道な研究を日々進めています。
大学での研究は「一番良いものをつくる」ことに集中できましたが、企業ではそれに加えて「コスト」の壁が立ちはだかります。ただ性能が良ければいいわけではなく、利益も考慮して構造設計を行う必要があります。その制約の中で、どうバランスを取るかを模索する過程が、今の仕事の面白さです。
文献を読み漁り、「この金属をこの比率で混ぜたらどうか」と仮説を立て、それを実験で検証する。その結果が思い通りに得られたときは、心からワクワクします。もちろんコストも同時に試算し、実用性とのバランスを探る。そんなプロセスの一つひとつにやりがいを感じています。
入社当初は大型電池の開発を目指していましたが、現在は自動車用の鉛蓄電池を担当しています。方向は変わりましたが、この3年間で「鉛蓄電池にはまだまだ伸びしろがある」と実感しました。今ある技術を超える素材を追求し、製品に応じた最適な材料を提案していく。そんな挑戦の日々に、研究者としての喜びを見出しています。
研究を進めるうえで私が大切にしているのは、“まず先輩に聞いてみる”こと。古河電池には長い歴史の中で蓄積されたデータがあり、知識や経験を持った先輩社員もたくさんいます。
自分ひとりで考える時間もありますが、誰かの知見を借りればもっと早く本質に辿り着ける。だから、私は積極的に周囲に質問して、知識を吸収するようにしています。最短距離で進み、そこから未踏の課題に挑む。その順番が自分には合っているんです。
古河電池には、働きやすさと成長を支える魅力的な環境があります。特にフレックスタイム制度が整っており、コアタイムなし、月単位で勤務時間を管理するスタイルです。私は朝が得意ではないのですが、自分のペースで出社でき、渋滞を避けて安全に通勤できる点が大きなメリットだと感じています。プライベートと仕事のバランスを取りながら、自分らしく働くことができる環境です。
また、社内はとても温かい雰囲気で、誰にでも気軽に相談できる文化があります。自由な働き方と温かい人間関係、そして成長を促してくれる先輩たちがいる、そんな魅力あふれる職場です。特に尊敬しているのが、所属のグループ長です。私の拙い説明でも正確に意図を汲み取り、的確なアドバイスをくださる姿を見て、「自分も将来はこうなりたい」と強く思うようになりました。
現在は集電体の改良に取り組んでいますが、将来は電池全体の設計にチャレンジしたいと考えています。お客様の要望に応じて、最適な材料や構成を提案できるシステム作りを目指しています。
電池は複数の部材で構成されており、それぞれに最適な選択が求められます。全体を見渡して最適な組み合わせを提案するには、個別のデータを整理し、すぐに活用できるデータベース化が不可欠です。
私はそのプロジェクトにも携わり、集電体だけでなく、電池全体を俯瞰できるエンジニアを目指して日々挑戦しています。